家事代行の一訪問利益は、現場賃金だけでなく移動・待機、決済、再訪、獲得費を同じ単位で集計して判断する。税区分と稼働時間を明示した仮定計算から、損益分岐件数と値上げ・地域集約の検討手順を示します。

売上に含む時間

訪問商品の表示時間と原価の時間は同じではない。顧客が2時間の作業を買っても、スタッフは移動、鍵受渡し、作業後報告、資材補充、研修に時間を使う。給与・報酬の原価を作業時間だけに掛けると、請求できない時間を利益として誤認する。訪問ごとに提供開始・終了時刻、出発・帰着、記録分、待機、キャンセルを分けて記録し、地域・曜日ごとの配賦方法を定める。予約枠の長さと有給拘束時間を一緒に見ることで、サービス時間を延ばす案と移動を短くする案を比較できる。

2時間訪問と3時間訪問は単純に売上が1.5倍とは限らない。追加1時間に使う人件費・消耗品と、顧客宅での作業切替や後続予約への影響を計算する。長時間訪問で移動が一度で済む利点がある一方、疲労や休憩確保の制約もある。料金改定では追加作業の範囲を先に定義し、顧客が不在でも作業可否が分かる指示書を持つ。比較表の同じ行に税区分、交通費の請求可否、決済料、再訪見込みを置き、税込売上と税抜原価を混ぜない。

月次原価表には、訪問ID、請求時間、現場時間、移動時間、記録時間、賃金区分、交通費、用材、決済、無償再訪を別列で残す。顧客請求の「2時間」とスタッフの拘束2.75時間は別単位である。現場作業開始・終了の丸め規則を定め、開始前準備を記録漏れにしない。訪問時間外の移動を支払うかは契約・労務条件で決まり、計算用の仮定を実際の賃金支払ルールに置き換える。

売上時間と拘束時間を混同しないよう、予約システムには入室・退出だけでなく移動開始、記録完了、資材補充を記録する。勤務条件によりどの時間が賃金対象かは雇用・委託の実態や契約で確認する。管理会計の原価モデルは労務担当が確認した処理を使い、独自の短縮丸めで人件費を削らない。

参考資料:厚生労働省:労働基準法上の労働者性判断、厚生労働省:労働基準法の休憩時間FAQ

移動・教育・欠勤コスト

移動費は交通費だけでなく、移動中に発生する賃金と次の訪問に間に合わない機会損失を含む。教育は新人の研修時間だけでなく同行者が通常訪問をできない時間も含める。欠勤時は予約を振り替える管理時間、代替要員の移動、顧客への連絡、返金を個別に記録する。固定給スタッフの空き時間と、訪問件数で変わる交通・決済費は別の原価箱にし、同じ賃金を二重計上しない。まず直近の自社記録を使い、記録が取れていない費目は見込額の根拠を明記する。

訪問単位の期待再訪費を置くなら、全訪問に対する再訪率、再訪一件あたりの追加人時、顧客への無償対応か有償追加かを明確にする。再訪の母数を苦情件数だけにすると、予定変更での再訪や内部品質確認を見落とす。研修費は入社数で割るのではなく、独り立ち後に何訪問へ配賦するかを決めて月次更新する。採用が増減したときに原価がどう動くかを感度表にし、繁忙月の計画だけで年平均を判断しない。

毎月、平均だけでなく移動時間の分布と訪問時間別の構成を確認する。短時間訪問は移動費の売上比が大きく、長時間訪問は次の枠へ及ぶ遅延や休憩確保の制約が大きい。顧客が複数サービスを一回に依頼した場合、各作業へ売上・用材・労働時間を配賦する規則を固定する。見積後に追加作業があった訪問は別区分にし、予定外の時間を標準原価へ無意識に含めない。

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研修は新人の費用だけでなく同行者が同時間に提供できなかった訪問機会も示す。欠勤は平均的な通常日へ薄めず、代替移動、顧客連絡、返金、管理者の組み替え時間を理由別に集計する。ひと月の再訪期待費160円という仮定は全訪問へ配賦する指標で、個別事故対応の予算上限ではない。

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参考資料:厚生労働省:労働基準法上の労働者性判断、厚生労働省:労働基準法の休憩時間FAQ

限界利益と必要訪問数

訪問限界利益は訪問売上から、その訪問を受けたために増える費用を引いた額である。固定費を回収する必要訪問数は、対象月の固定費を訪問限界利益で割り、件数単位なら端数を切り上げる。限界利益がゼロ以下なら訪問数を増やしても固定費回収に近づかないので、価格、作業時間、移動構成、変動費のいずれかを直して再計算する。税抜で計算するなら売上と費用を税抜で統一し、消費税納付額や資金繰りをこの損益式に混ぜない。

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売上を訪問単価だけで評価せず、訪問ごとの稼働時間と月間供給能力を併記する。必要件数を計算したあと、スタッフの稼働可能日、訪問時間、移動、休憩、教育、キャンセル予備枠から物理的に提供可能な件数を積み上げる。必要数が能力を超えるなら、損益分岐を超える価格・シフト・商圏の組み合わせを探す。追加スタッフの採用で供給能力を増やす場合は、求人費と待機期間の人件費も回収期間に含める。

賃金、移動、教育、決済、資材、再訪を固定費・変動費へ分け、訪問数の変化で実際に変わるかを各費目について記録する。欠勤代替の追加賃金は変動費、管理者の通常給与は短期固定費、雇用拡大に伴う採用費は段階固定費として分けるなど、会計と意思決定用の見方を明示する。二重計上を防ぐため、訪問単価に含まれる手当を総賃金へ再度足さない。

限界利益1,950円/訪問という仮定値から固定費300,000円を割ると153.85件となり、件数は切上げて154件/月である。154件は必要件数であって販売可能枠ではない。訪問1件の作業2時間に移動・記録を加え、休憩・研修・有給休暇・欠勤代替を引いた供給時間で受けられるかを別に判定する。

参考資料:厚生労働省:労働基準法上の労働者性判断、厚生労働省:労働基準法の休憩時間FAQ

固定費と必要訪問数

月次固定費には事務所、予約システム、保険、管理者人件費など、訪問数が短期で変わっても発生する支出を置く。訪問変動費には時間比例賃金、移動費、用材、決済料、再訪の期待費用を置く。雇用形態や賃金制度で労務費の変わり方が異なるので、各費用を実際の支払条件に対応させる。必要訪問数の計算は経営者報酬、税、設備投資の会計処理などを含む完全な利益予測ではなく、単月の運営判断用に範囲を限定する。

訪問を増やせるかはスタッフ数ではなく、技能と時間窓を掛け合わせた供給能力で決める。同じスタッフが午前に一件、午後に別地域一件を担当する想定なら、現実の移動時間を加え、休憩を削らない予定にする。必要件数を売上目標だけで配員表へ載せず、受注可能枠と顧客への予約回答を照合する。現場の超過勤務が常態化する場合は、帳簿上の利益が出ても持続可能な件数として数えない。

必要件数154件/月を週・日へ単純に等分せず、営業日数、予約時間帯、顧客の希望、休暇、技能別の稼働可能枠を配員表へ落とす。平均訪問時間から必要人数を割り出すだけでは移動と休憩が抜ける。地理的に近い予約を組み、代替者とキャンセル予備枠を確保した後、限界利益を再計算する。供給枠を確保できない場合は売上計画を見直す。

計画表では週ごとに提供時間、移動時間、予約窓、技能、休憩を積み上げ、理論上の人時を顧客へ約束する枠へ変換する。たとえば一日8時間の勤務から休憩1時間、移動1.5時間、記録0.5時間を除けば提供可能時間は5時間で、2時間訪問を二件確定すると次の移動余白が残らない可能性がある。

参考資料:厚生労働省:労働基準法上の労働者性判断、厚生労働省:労働基準法の休憩時間FAQ

価格変更の感度

価格改定の感度は一訪問の利益額だけでなく、改定後の受注率、継続契約の解約、平均訪問時間、顧客の追加依頼を同時に測る。単価を上げても顧客が離れれば月間限界利益は下がりうる。逆に訪問時間の表示を明確にして追加作業を予約制にすると、値上げなしで超過作業が減る場合がある。変更前後は同じ地域、曜日、サービス内容の顧客群で比較し、季節要因や広告出稿の差を別に記録する。平均値のみでなく、遠距離・再訪・短時間枠の構成差を見る。

仮定の1訪問計算では、2時間作業4,000円/時、税抜売上8,000円とする。提供2時間・移動0.5時間・記録0.25時間の総労働2.75時間へ仮定単価1,800円/時を掛けると4,950円、交通500円、用材200円、決済料は売上の3%として240円、再訪期待負担160円を引き、限界利益は1,950円となる。月固定費300,000円なら300,000÷1,950=153.846…を切り上げ154訪問。数値は説明用であり、税抜・月単位の仮定で実勢賃金や料金ではない。

価格変更の前後は、同じ対象顧客群に対し、提示価格、申込、初回訪問、次回予約、解約、値引き、苦情を追う。比較期間に休日や繁忙期があるなら季節差として注記する。価格改定で利益が増えたと断言する前に、訪問内容や移動地域が同じかを見る。契約上必要な事前案内と顧客の選択を確保し、受注率の悪化が事前に定めた限度を超えたら改定対象や説明を見直す。

価格改定は単価上昇だけで採用しない。値上げ後に月間実施が減る閾値を、既存契約と新規契約を分けて試算する。訪問利益が増えても、顧客の取消増、移動密度低下、技能構成変化で月全体が悪化しうるため、試験は対象群・開始日・判断者を定め、請求説明と契約変更を完了してから開始する。

この採算表を経営判断へ使う前に、売上認識と予約変更を会計期間で合わせる。前受金を実施前に売上へ含めず、未実施・返金・振替の状態を分け、税抜単価へ消費税を二重加算しない。月末に154件を達成したかだけでなく、提供枠の欠勤、技能不足、地理的な空白を併記し、翌月の供給制約を価格判断へ戻す。

3時間枠の仮定比較は、追加提供1時間に売上4,000円を加え、労務1,800円、用材100円、決済120円、再訪期待費80円が増えるため、限界利益の増加は1,900円である。この差は商品の実測結果ではなく、追加時間で固定された移動・記録費が増えない場合の計算である。訪問前後の移動が長くなる、連続作業で休憩を追加する、作業者2人が必要になる条件なら、その費用を別途加える。

参考資料:厚生労働省:労働基準法上の労働者性判断、厚生労働省:労働基準法の休憩時間FAQ

仮定計算:1訪問の限界利益と月間損益分岐

数値は説明用の仮定です。棒図の指標単位は 円/訪問、ゼロ位置を基準に負値は左、正値は右に表示します。実績や相場を示しません。

仮定計算:1訪問の限界利益と月間損益分岐
項目計算税抜額
売上2時間×4,000円8,000円
労務費(提供2+移動0.5+記録0.25)時間×1,800円4,950円
交通・用材・決済・再訪負担500+200+240+1601,100円
訪問限界利益8,000−4,950−1,1001,950円
必要訪問数固定費300,000÷1,950、切上げ154訪問
仮定計算:1訪問の限界利益と月間損益分岐の比較。基準線は0、負値は左側、正値は右側。各値の単位は円/訪問。
  • 移動0.5時間+1,950 円/訪問
  • 移動0.75時間+1,500 円/訪問
  • 移動1時間+1,050 円/訪問
仮定計算:1訪問の限界利益と月間損益分岐の図表データ(仮定)
条件符号付き数値単位
移動0.5時間+1,950円/訪問
移動0.75時間+1,500円/訪問
移動1時間+1,050円/訪問

税抜の仮定。売上8,000円、労務単価1,800円/時、交通500円、用材200円、決済3%=240円、再訪期待負担160円を固定。移動時間だけ0.5/0.75/1時間で変化させ、利益1,950/1,500/1,050円。固定費300,000円/月なら各必要訪問数は154/200/286へ切上げ。人員、休憩、訪問時間窓、地域別移動枠を満たす供給能力が別途必要。

仮定の訪問原価を2時間・3時間メニューへ配賦する

編集部による業務整理。条件・契約・対象期間を個別に確認してください。
原価・運営軸2時間訪問の扱い3時間訪問の仮定値(税抜)
請求売上2時間×4,000円=8,000円(仮定、税抜)3時間×4,000円=12,000円
労働時間提供2h+移動0.5h+記録0.25h=2.75h提供3h+移動0.5h+記録0.25h=3.75h
労務単価2.75h×1,800円=4,950円(仮定)3.75h×1,800円=6,750円
訪問ごとのその他費交通500+用材200+決済240+再訪期待160=1,100円交通500+用材300+決済360+再訪期待240=1,400円
供給制約移動を含め次枠までの間隔を計上同じ移動時間でも提供枠を1h多く消費。休憩・連続作業と次枠を確認
訪問限界利益8,000−4,950−1,100=1,950円12,000−6,750−1,400=3,850円

確認・判断の工程

  1. 提供時間・移動・記録を別欄で記録
  2. 税抜売上と訪問変動費を照合
  3. 限界利益が正か確認し固定費で除算
  4. 必要訪問数を人員・時間窓の能力と比較
  5. 結果を見て価格・範囲・商圏の一つを変更

工程は判断論点を示す編集部の整理です。各事業者の手順・法令上の要件を保証するものではありません。

仮定計算:1訪問の限界利益と月間損益分岐

説明用の仮定を固定する。顧客へ2時間を提供し、税抜単価は4,000円/時、売上8,000円。スタッフ労務単価は1,800円/時で、提供2時間、移動0.5時間、作業記録0.25時間を支払対象とする。労務費は(2+0.5+0.25)×1,800=4,950円。交通費500円、用材200円、決済料3%×8,000=240円、再訪期待負担160円を置く。これらは全て仮定で相場・実績ではない。

式は訪問限界利益=8,000−4,950−500−200−240−160=1,950円/訪問。固定費300,000円/月をこの利益で割ると153.846…なので、損益分岐の件数は154訪問/月へ切り上げる。必要件数に達するスタッフ時間は154×2.75=423.5時間/月で、訪問提供時間だけでも308時間/月となる。よって損益分岐を満たしていても実際のスタッフ稼働枠と商圏内の受注数が不足するなら達成不能である。

移動だけを変える感度は、0.5時間なら利益1,950円、0.75時間なら1,500円、1時間なら1,050円。固定費300,000円の必要数は154、200、286訪問/月へ切上げる。これは移動時間以外を固定した仮定であり、長距離で交通費・遅延も増える場合は別計算となる。自社の時間記録で式を置き換え、必要数が提供能力を超えるときは拡大を止め、価格・時間枠・地域の条件を試算し直す。

3時間枠も同じ税抜単価を仮定すると売上は12,000円、提供3時間・移動0.5時間・記録0.25時間の労務費は3.75×1,800=6,750円となる。交通500円、用材300円、決済3%=360円、再訪期待費240円を置けば変動費合計8,150円、限界利益3,850円である。金額は仮定で、再訪費を提供時間に比例させる簡略化を含む。2時間枠の1,950円と比べ、追加1時間の利益1,900円を得る一方、次枠・休憩・作業強度が成り立つかを確認する。

よくある質問

損益分岐の154訪問は従業員何人で提供できますか?

必要な人時を計算し、契約時間、移動、休憩、教育、休暇を含む自社の月間供給可能時間と比較します。人数だけでは決まりません。

訪問の再訪費は再訪案件だけに載せますか?

サービス採算を見る場合は、対象期間の再訪費総額を全訪問数で割った期待費用も併記できます。再訪の定義と分母を揃えてください。

この単価や賃金は業界相場ですか?

いいえ。本文の金額は計算手順を示すための仮定です。料金・賃金・税区分を実際の契約と会計データに置き換えてください。

一次資料と確認範囲

一次資料を根拠に制度・公表事実を説明し、比較・運用案は編集部の整理として区別しています。法令や仕様は適用条件と現行資料を再確認してください。

  • 厚生労働省:労働基準法上の労働者性判断公表日・改訂日:資料内に明記なし(確認日とは別)。対象期間:統計期間なし(行政上の判断説明)。2026-10-05取得時の掲載版。。参照箇所:「労働基準法における労働者性判断」、使用従属性・指揮監督の説明。確認日:2026-10-05。根拠と適用範囲:労働者性は契約名でなく、指揮監督下の労務提供、時間・場所の拘束、報酬の労務対償性等の実態を個別具体的に総合して判断する。個別スタッフの法的結論を本文だけで断定しない。
  • 厚生労働省:労働基準法の休憩時間FAQ公表日・改訂日:資料内に明記なし(確認日とは別)。対象期間:統計期間なし(法令FAQ)。取得日2026-10-05の掲載版。。参照箇所:FAQ「休憩時間は法律で決まっていますか。」労働基準法第34条の回答。確認日:2026-10-05。根拠と適用範囲:FAQは労働基準法34条に基づき、労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えると説明する。個別の労働時間・適用対象は勤務実態から確認する。